重いカーテンを開けたら

  寒さを感じて、目がさめた。 霧のような冷たい湿っぽさを感じ、 すぐに自分の部屋ではないと気がついた。 薄暗い室内。汚れが染み付いた絨毯。 何もないだだ広いガランとした部屋の真ん中に、 古い木製の二段ベットのが一つ置かれていて、 そして私はそのベットの下の段に寝ていたようだった。 重そうなグレーの色をしたカ...

生活をするということ

  毎朝コーヒーを淹れている。 会社でこっそりとサボテンを育てている。 公園でポタージュスープと野菜サンドのランチを食べている。 帰りに図書館へ寄り道をしている。 さらに寄り道をして、コーヒーを買って、会社へ戻る。 夕食を食べて、湯たんぽにお湯を入れて、眠りについている。 金曜日の会社帰りには時々、かすみ草を...

日のあたる温室に住みたい

  私にはいくつかの夢がある。 ささやかなものから大きなものまで。 その中の一つは、”温室のような家に住むこと”である。 例えばそれは、よしもとばななさんの”キッチン”の田辺くんの あの家のような。光と緑で溢れたそんな家。眩しいくらいでも良い。 アジアンタム、かすみ草、マーガレット、水栽培のヒヤシンス、 ベン...