不完全で不公平で

  『九月二十七日 陽は部屋にゆっくり射して 畳にぼくの影が 樹とゆらぎ 網目の影とかさなる この時、ぼくは外に出た 見たまえ あの抱擁するような陽の光り 永遠の愛を 痛く何度叫んだか 草原に独り ただ独り ぼくは草になる 土になる かぎりない欲望に こころは迷う わざと曇した ガラス窓 曇した それでも ぼ...

PM 4:00 のできごと

  洗濯もののやわらかなにおいとはためく音、玄関前に並んだ植木鉢たち、水がまかれたばかりの芝生、家の隙間に降り注ぐ西日。 散歩した時のそういう日常を見て、とてもきれいだと思って、とても安心して、それからとても泣きたくなる。そこは私の家の近くだけれど、もしかしたら、あまり好きではない渋谷や新宿でも、そういった面...

それでも、フランダースが好き

  「Do you believe in God?」 ギョレメ村で出会ったイラン人の女性に、突然こんなことを聞かれた。 その時のことを私はときどき思い出す。 – いつだったかの幼い時、弟がぽつりと呟いた。 「神様はね、ただ見ているだけなんだよ。」と。 それから、こちらを見て、意地悪そうにニヤリと笑...