雲がひとつもない秋の午後。
とても心地良い日だと思って、コーヒーと、小さなドーナツを買って食べた。子供が裸足で遊んでいる公園のベンチで、夕方の穏やかな光に当たりながら。
それから真夜中にタルコフスキーの映画を2本観て、ほろほろと泣いた。泣いてしまうような映画ではないはずなのだけれど、息を飲むほどのあまりの美しさにやられてしまったのだった。
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ここ半月ほど体調が優れなかった。
毎月かならず体調が悪くなる自分自身の体に辟易とするけれど、それでも少しずつ回復に向かいつつある。映画のワンシーンであったり、かすみ草であったり、日の光りであったり、誰かの書いた詩の一節であったりが私を救ってくれるのだ。
美しいものがこの世界にあって良かったと、本当にそう思う。