雨の日 ぼんやり

 

イヤホンをつけてNorah Jonesのアルバムを流したら、お気に入りのレインブーツを履いて家を出る。傘をさして、水たまりの水をぱしゃぱしゃとはじきながら歩く。それから水を浴びる植物たちを眺める。雨に似合うしっとりと鮮やかな紫陽花、水たまりに映りこむ木々、窓ガラスについた水滴の点線。

雨の日は、心がとても穏やかになる。不思議なくらいに。

そうして駅まで歩いたら、傘をさしたまま改札を通ってしまった。

帰りには、定期券を出すのを忘れて、改札の間に閉じ込められてしまった。雨の日はそんなふうに、いつもぼんやりとしてしまう。

それでもよい。静かに、穏やかに、過ごせる日々。