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少しずつ少しずつ、休日がくる度に昔のものを捨てるようになってきた。

昔描いたデッサンだとか、クロッキー帳だとか。たいした重みはないけれども、
確かに自分のやったことがきちんと積み重なった形跡を見た気がした。

クロッキー帳やデッサンは、一枚一枚じっくりとそれを確かめた後、処分した。
先週捨てたのは、色見本帳。どの絵の具をどの配分で混ぜたかという、自分だけの見本帳。2枚だけ写真をとってから捨てた。それから今週は本棚の本や雑誌も50冊ほど。残ったのは、60冊程度の小説・エッセイと料理と旅行、それから写真、映画と建築の本だった。

ものはなぜ増えていくのだろう、としばしば考える。
考えると、荷物が増えていく度に欲も増えているようで怖い。
そうして自分の思っている全てのものを把握できなくなる度に、
時々ワッと全部を捨ててしまいたくなる。手放したくなる。

時々そうやって処分をしながらも、きっとものは増えていくのだと思う。
その時その時に自分に必要になるものだってあるのだから。

それでも、それでも。
自分の持つ全てのものに関しては、責任を持ちたいと思う。
ずっと愛でて使い続けられるものを、持ちたいと思う。