世界の片隅で、それでも確実に生きている

 

“普通の人”
というものが私の小学生の夢だった。

何かの節目の学校の文集で”将来の夢は?”
という質問に対してそう一言だけ書いて、
提出した時に『普通の人ねぇ…』と先生に鼻で笑われたのを覚えている。

それでもその時私は、そうでありたかった。
非凡であったから、目立つ存在であったからなどという理由ではもちろんなく、
ただ単に、現実的に考えてそう思ったのだった。

だから先生にそうやって言われてしまっても、

私は堂々と
「はい、普通の人です。」
と答えたことも鮮明に覚えている。

“普通の人”というのは、
華やかな世界ではなくて、世界の片隅で地道に暮らしていくことだと
小学生の私はそう思っていた。

それは今でも変わっていなくて。
穏やかな気持ちで日々を過ごしたい。
それこそが、きっと私が幼い頃から求めていたものなのだと思う。

旅に出ることも、刺激を求めているようで(それも多少あるけれど)
本当は安定を求めてのことからなのかもしれないと最近気がついた。